2009年7月3日金曜日

17、先制技

 先制技の存在は潰しパの構築に大きく影響を与えている。なぜならば潰しポケモンというのは基本的に素早さと攻撃・特攻に努力値を割き、「先に攻撃して敵を倒す」事を前提としているのに、先制技はこの前提を覆してしまう存在だからだ。

 先制技が重要になってくるのは主にお互いのパが潰しパの時である。全員のHPが削れてきた終盤に、先制技で全抜きを狙いに行くという戦略が潰しパ同士では非常に有力になる。一方、潰しパ対受けパのような対戦では威力の小さい先制技が大きな影響力を持つことは比較的少ないので、先制技の考察を行うことはつまり、潰しパ対決を想定したものとなる。

 先制技の利点は潰しあいに強いことに加え、第二のスカーフストッパー的な役割を持たせられることである。竜舞やすいすいなどで暴走している敵を死に出しで無理矢理止めることが出来るのは、受けのいない潰しパにとって重要な機能である。以下に先制技の使い手を紹介する。

【神速】
ルカリオ、ウインディ、トゲキッス

【バレットパンチ】
ハッサム、メタグロス、ルカリオ、カイリキー、チャーレム、サワムラー、ドクロッグ、ハリテヤマ

【アクアジェット】
マリルリ、カブトプス、エンペルト、サメハダー、フローゼル、オーダイル

【マッハパンチ】
ゴウカザル、キノガッサ、サワムラー、ブーバーン

【真空波】
ゴウカザル、バシャーモ、ルカリオ、ドクロッグ、ニョロボン、カイリキー

【氷の礫】
マンムー、マニューラ、ラプラス、ドンファン

【影うち】
ヨノワール、エルレイド、ミカルゲ、ベトベトン

【ねこだまし】
エテボース、サワムラー、ハリテヤマ、マニューラ、ドクロッグ、ピカチュウ

【電光石火】
ハッサム、ブースター、アブソル、カイロス、エレキブル、ムクホーク、レントラー、リーフィア

【不意討ち】
アブソル、ドンカラス、サワムラー、ノクタス、ゴローニャ、ドクロッグ、ウツボット、ハンテール、ダーテング、ヨノワール、ダグトリオ

 よく3on3で言われるような「タスキつぶし」としての役割を先制技に求める場合、ここに挙げた全ての技がその役割を十分に果たすことができるが、6on6の対戦ではタスキなどほとんど見ないので、先制技には出来るだけ大きな威力を持たせる事が求められる。イメージ的には死にかけのゴウカザルのHPを30%ほど削れるくらいの威力が欲しい。すると、実際に候補となるのはもともとの威力が高い【しんそく】【ふいうち】と【テクニシャン】持ち、または【タイプ一致】の先制技である。上記のリストにはその条件に含まれないポケモンの名前も挙がっているが、攻撃種族値が高いなどの理由で名前を載せたものもおり、少なくともここに名前の載っているポケモンを使用するときにはまず先制技を持たせるかどうかを吟味することをお勧めする。

 現環境で最もよく見るのはやはりハッサムのバレットパンチである。これはテクニシャン補正を含めて威力90の先制技で、剣舞やハチマキと併用することで後半の全抜きを狙いうる性能を持っているためである。ハッサムは基本的にバレパンととんぼ返りの2つの技だけしか使わなくても非常に優秀なポケモンとなる。こいつの存在で鋼弱点のポケモンは相当活躍の機会を奪われており、それどころか鋼等倍でも厳しい事が往々にしてある。

 次点はマンムーのこおりのつぶて、ルカリオの神速が続くだろう。前者はドラゴンストッパーとして最も優秀なため、ガブマンダをメタるのであれば非常に有力である。また、サンダースに後出ししていって身代わりを張られてもバトンする前に身代わりを割れるので、電気流しの性能も兼ね備えている。つぶて読みで出てくるゴウカザルやハッサムの存在が辛いところ。後者は剣舞をなんとか積んで、終盤の全抜きを狙うことで有名である。剣舞命の珠神速の威力は相当なもので、普通の潰しポケモンはほとんど一撃で持っていかれてしまう。かといってインファイトを半減できない物理受けでは剣舞インファイトを耐えることが難しいので、手持ちにギャラドスやボーマンダなどが残っていないとゲームが終了する事もある。