2009年5月28日木曜日

15、ソーナンスの脅威

今回は非常に特殊なポケモン「ソーナンス」について扱ってみる。

 このポケモン、地味に見えるが実は非常に強力な特性「かげふみ」の持ち主であり、こいつの存在一つでポケモンの対戦環境がガラッと変わってしまうほどの影響力がある。

 まず最初に注意しておきたいのだが、ソーナンスの使用は対戦する場所によっては禁止されている事もあるので、自分が参加する大会やら掲示板のルールをよく読むようにしていただきたい。

 逆に言うと、ソーナンスの使用が許可されている対戦環境において、ソーナンスを無視したパーティー構築をすると痛い目に合う可能性が高いということでもある。たまにソーナンスを無視した構築をしておきながら、ソーナンスにパーティーを崩されて負けた人が「ナンスを使うのはマナー違反だ」と言って相手を非難しているのを見かけるが、そういう人はナンス禁止の掲示板で対戦すれば良いだけの話で、自分のパーティーに弱点があることを認めないのはそれこそ見ていて感じの良いものではない。

 ソーナンスの強さ、それは交換を禁じる特性「かげふみ」と、それを利用したアンコールからの敵の確殺もしくは無償降臨から来る。

 具体的には敵の受けポケモンに対してナンスを交換出ししていくと、その時点で相手の受けは交換ができなくなる。次ターンのアンコールで技を縛ることによってカウンターミラコによる受けの破壊、もしくは補助技アンコからのエースの無償降臨が保証される。単純だが、たったこれだけの仕事が多くのパーティーにとって非常に厄介なものとなるのだ。

 例えば、ドククラゲなどはソーナンスのカモにされやすい受けポケの代表格である。使ってみればわかるがHPと防御or特防に振って黒いヘドロを持たせたドククラゲというのは非常に堅く、ゴウカザルなども安定して受けることができるためとても使い勝手が良い。高速スピンや毒びしも覚えるので受けポケモンとしてはかなり優秀で、今もなお多くの人に使われている。しかし、その一方で攻撃系種族値が低いため、ひとたびナンスに出てこられると完全にカモにされてしまうという弱点がある。

 もちろん、ドククラゲがソーナンスに圧倒的に弱いかというとそういうわけでもない。クラゲに綺麗な抜け殻というソーナンスメタのアイテムを持たせてやれば、無条件で毒びしをまいた上にソーナンスに有利なポケモンを交換出ししていくことで逆にナンスを起点にすることもできる。

 このブログでは潰しポケモンを主体としたパーティー構築を推奨しているが、受けポケモンを主体としたパーティーというのはどうしてもソーナンスが弱点になりがちである。これはつまり、潰しパのパーティー構成員としてソーナンスを選択することは、相手の受けを無効化するという点で非常に有力であるということの裏返しでもある。

 潰しの選択肢として、今までの記事で二刀流、起点、とんぼ返りなどの視点などからポケモンを挙げてきたが、どの潰しポケモンを選択したにせよ基本的には潰しポケモンにはそれに対応するベストな受けポケモンというのが存在していて、「絶対に止まらない潰し」というのは実際にはボーマンダくらいしか存在しない。そして、以前の記事に書いたように潰しポケモンが受けで止まる状況というのは潰しパにとっては何よりも避けなくてはならない状況であるので、そういった「止まる受けポケ」を確実に起点にできるソーナンスは潰しパにとって非常に都合の良いポケモンなのである。

 例えば私は水受けにシャワーズを使っていた事があるが、持ち物は基本的に抜け殻を持たせていた。これは私のパーティーが水受けを完全にシャワーズに頼り切った構成をしていたため、万が一シャワーズがナンスに刈られるとエンペグドラが受けられなくなり、一瞬で負けが確定してしまうという理由からだった。

 よく対戦で見かけるハピナス、ミロカロス、シャワーズ、ドククラゲなどに食べ残しや黒いヘドロを持たせている人はナンスを仮想敵としていないのだろうが、私はいわゆる「ソーダグ」に対する抵抗のないパは現在の環境では望ましくないと考えている。こういった水受けに食べ残しを持たせる事は、確定数をずらすなどのメリットがあるが、一方でナンスに刈られるデメリットもあるという事を意識しなくてはならない。特にハピナスやミロカロスなどの耐久は食べ残しを持たなくても仮想敵を受けきるのに十分なものであるので、何も考えずに食べ残しを持たせるのは考え物である。

 ソーナンスに対する対策としては、最も狩られたくないポケモンに抜け殻を持たせるのが最も手っ取り早い方法である。ハピに抜け殻を持たせるだけで純粋なソーダグパはほとんど機能しなくなる。抜け殻の代わりにバトンタッチやとんぼ返りを取り入れても良い。また、パーティーに明確な受けのいない構成を作り、誰でもナンスに大ダメージを狙えるようにすることでナンスをせいぜい1回しか場に出せないようにすることも立派な対策である。ナンスの耐久力は異常なので、基本は1対1交換で処理することになるだろう。

2009年5月20日水曜日

14、潰しポケモンの選択③

潰しポケモンの選択肢は多岐にわたる。今回は有名どころの潰しポケモンを列挙する。

【ギャラドス 陽気】
【素早さ252 攻撃252】
【滝登り ストーンエッジor地震orおんがえし 竜舞 挑発or身代わり】
有名な竜舞ギャラドス。良い点はタイプが優秀で素の種族値が高いために威嚇を絡めて場に出す機会、つまり起点が多い点。弱点は対策がされやすい事とステロ2倍な点。持ち物はソクノ、食べ残し、強化アイテムなど。

【エンペルト 控えめ】
【特攻252 素早さ調整 残りHP】
【ハイドロポンプ 草結び 高速移動 身代わり】
これも有名な高速みがヤタ激流エンペルト。ギャラドス同様タイプが優秀で種族値も高いため起点は多い。ギャラドスよりは対策ポケが少ない。水を等倍で通すポケモンで一撃死しないのはハピナスくらいなので、パに水受けがいないと一瞬で全抜きされる。ドクロッグで止まったりする。

【キングドラ うっかりやor無邪気or控えめor臆病】
【特攻252 素早さ252】
【ハイドロポンプ 流星群 たきのぼり 雨乞い】
有名なすいすいアタッカー。素早さは調整してHPに回したり、技の候補はドロポンと流星群以外は色々あったりする。自分で雨乞いしないでハッサムなどから繋げることもできる。半減しにくい流星群が厳しいが、雨がやめば止まるので使い捨てになりやすい。持ち物はプレートや命の珠など。

【ゴウカザル 無邪気orせっかち】
【素早さ252 攻撃or特攻252】
【大文字 インファイト 雷パンチ 草結び めざ氷 とんぼ返り 身代わり 真空波orマッパ アンコールetc.】
二刀流の雄。何の技を持っているか予想がつかないので意外な奴が一撃死したりする。持ち物は命の珠、ヤタピ、カムラ、スカーフ など。
【例】
雷パンチ→ギャラドス、ドククラゲ
草結び→ラグラージ、ヤドラン、ミロカロス
めざ氷→ボーマンダ、ガブリアス

【ボーマンダ 無邪気orせっかち】
【素早さ252 攻撃or特攻252】
【流星群 ダイブ 逆鱗 竜舞 大文字 じしん ドロポン 羽休めetc.】
受けにくさはダントツのNo.1。威嚇持ちでタイプも優秀なので場に出やすいが、基本的にこいつが無償降臨するような場面は作ってはいけない。覚えておくと良いことは、こいつは電気技は雷のキバしか覚えないという点。10万ボルトを覚えるカイリューとの大きな違いである。持ち物はプレート、命の珠、ヤチェなど。

 イメージ的にはこの辺までがAランク。

【スターミー 臆病】
【素早さ252 特攻252】
【ハイドロポンプ 10万ボルトor雷 冷凍ビーム 草結び サイコキネシス 雨乞い】初代からの特殊アタッカー。ハピが来ると本当にどうしようもない。悪ポケに鉢合わせるとふいうちorおいうちで50%の確率で無条件死したりするが、この素早さから数多くのタイプの技を繰り出せるのはやはり強い。自然回復が優秀で、毒を撒いてくるミロカロスやシャワーズなどを起点に出していける。ただしこいつらはめざ電持っている事も多い。臆病スカーフ最速型はストッパーとして非常に優秀で、舞ったギャラドスやドラゴンを潰せたりする。持ち物はスカーフ、命の珠など。

【ゲンガー 臆病or無邪気】
【素早さ252 特攻252】
【シャドーボール きあいだま 10万ボルト ヘドロ爆弾 催眠術 身代わり 大爆発 めざ炎 凍える風 道連れ】
こちらも由緒正しき特殊アタッカー。大爆発を持たせればハピで止まらないのが☆との大きな違い。その場合は命の珠を持たせて攻撃にも振ったりする。悪で無条件死するのは☆に同じだが、道連れなんて技も覚える。スカーフトリックという使い方もあり、色々トリッキー。持ち物は眼鏡、スカーフ、ヘドロ、命の珠など。

【ガブリアス 陽気】
【素早さ252 攻撃252】
【じしん 逆鱗 剣の舞 大文字 身代わり 流星群】
素早さ102族が絶妙な物理アタッカー。有名なのは砂パの身代わり連打型で恐ろしく強いが、無天候の時は特性無しポケモンに格下げされるので意外と何とかなる。種族値が高いのでどんどん殴っていかないとなかなか死んでくれない。波乗りを覚えるのでカバルドン相手に特攻調整していることもある。持ち物はヤチェ、光の粉など。

 この辺もAと大差ないけど若干落ちる気がする。

【ヘラクロス 陽気】
【素早さ252 攻撃252】
【インファイト メガホーン エッジ 地震 辻斬り 身代わり 剣の舞】
ヤドランで受けられない物理アタッカー。根性用に毒球、火炎球を持たせたりするが、それだと意外と決定力が出ない。決定力的に厳しいのはハチマキを巻いたこいつが毒びしを踏んだときとか、みがカムで素早さ130族を抜いて虫の知らせが発動してしまったときなど。持ち物は毒球、ハチマキ、スカーフ、カムラ、命の珠など。

【カイリキー いじっぱりor陽気】
【攻撃252 HP252or素早さ252】
【爆裂パンチorインファイト エッジ じしん しっぺがえし バレパンorアンコール 身代わり 大文字】
ヤドラン、ヤドキング以外だと必ず混乱してしまうので、うまく無償降臨されると厳しい。身代わりとアンコを使いこなす器用な型もある。素早さが55族なのが致命的な弱点で、陽気最速にしてあることもあるが、グライオン(95族)に20振るだけで抜けなくなってしまうのは有名。

【メタグロス 意地っ張り】
【攻撃252 素早さ調整 残りHP】
【コメットパンチ バレパン 大爆発 三色パンチ アームハンマー サイコキネシス 草結び 追い討ち】
いわゆる600族だが、ドラゴンに比べると技のレパートリーや威力、攻撃範囲などで劣る。タイプ一致のコメットパンチが水に半減されるのが特に問題で、積み技がないためガブリアスのように無理やり突破もできない。基本的な種族値、タイプが優秀で倒すまでに苦労するが、全抜き性能は皆無なのでいつかは爆発する運命。 6on6ではミロカロスやシャワーズを誘って大爆発で間接破壊してしまうのが使いやすいかもしれない。

 メジャーどころはこれくらいにしておいて、少し面白い奴らを紹介すると

【リザードン 陽気orいじっぱり】
【素早さ252 攻撃252】
【身代わり 腹太鼓 炎のパンチ ドラゴンクローor地震orおんがえし】
みがカムで猛火発動と素早さ130抜きを達成して全抜きを狙う型。先制技があれば容易に止まるが、決定力は上記の比ではない。ステロ4倍なので相当なサポートが必要。

【マッスグマ 陽気orいじっぱり】
【素早さ252 攻撃252】
【身代わり 腹太鼓 じたばた タネ爆弾orシャドークロー】
リザードンと同様のみがカム腹太鼓アタッカー。やはり先制技に弱い。

【ナッシー 控えめor臆病】
【素早さ252 特攻252】
【ソーラービーム サイコキネシス めざ炎 日本晴れ 眠り粉 大爆発】
キングドラと対照的な晴れアタッカー。雨を意識するあまり晴れに対するメタを怠って水ポケモンでパが固まっているとソーラービームを連発するこいつで壊滅したりする。ふいうちなど先制技に弱い。持ち物は命の珠など。

【ヤドキング 冷静or控えめ】
【特攻252 HP252】
【サイコキネシス 火炎放射or大文字 悪巧み トリックルーム】
自己完結型のトリックルームアタッカー。カイリキーやゴウカザルなど、ヤドキングはHP振りだけでも出していける起点があり、流し際にトリックルームを打ってそのままエースになる。もともと防御系種族値が高く、トリックルームで素早さの逆転した状態でこいつに決定打を与えるのは非常に困難。流し際にハッサムを呼びやすいこいつが、トリックルーム下では逆にハッサムをカモにする。

【ビーダル 意地っ張りorしんちょう】
【攻撃252 HPor特防252】
【のろい たきのぼり おんがえし 眠る 度忘れ】
特性たんじゅんを生かして積み切って敵を倒す型。単体ではほとんどギャグで一瞬で落とされるが、フワライドの影分身バトンなどと組み合わせると途端に凶悪なコンボとなる。影分身×3をバトンするとこいつの回避率は+6なので攻撃がほとんど当たらない。その間にのろい×3を積み切れば攻撃+6、防御+6、素早さ-6、回避率+6の兵器と化す。結局運ゲだが、ここまで来ると物理攻撃は意味をなくし、特殊攻撃さえ当たらなければ全抜きまでありえる。積み途中で入った毒などは眠るでケアできる。

 と、今回は珍しくポケモンの型紹介に終始してしまった。受けポケモンが環境上大きく制限される中、潰しポケモンの選択肢は無数に用意されているので、自分に合った潰しを選択したい。

2009年5月19日火曜日

13、潰しポケモンの流し際

 受けポケモンの流し際については前回の記事で紹介したが、実は潰しポケモンにとっても流し際というものは存在する。受けポケモンの流し際とは何が違うかというと、潰しポケモンの流し際はいかに「大きなダメージを敵に与えられるか」を意識して選択する必要がある点である。以前の記事で出した例をここでも使用する。

【例1】
こちらゴウカザル、相手エアームドの状態。エアームドは大文字で確1だが、敵はおそらく交換をしてくるだろう。ここでの最も安定な選択はみがわりである。これで交換で出てきたギャラドスに雷パンチが入れば十分の流し際と言える。

【例2】
こちらハッサム、相手ヤドランの状態。ここでは相手が交換するかどうかに関わらずとんぼ返りが安定である。

 これらの例は極めて限定的な例だが、これに限らずともこちらの潰しが有利なとき、しばしば潰しポケモンの流し際という状態が現れる。 次の例を見てみよう。

【例3】
こちらマンムー、相手ボーマンダの状態。氷の礫で確1だがマンムーはみがわりも持っている状況として、お互いどう動くか。

【例4】
こちらエレキブル、相手ギャラドスの状態。10万ボルトで確1だが、エレキブルはフルアタで氷属性の技も持っている状況として、お互いどう動くか。

 【例3】はマンムーが礫を打つかどうかが非常に重要になってくる。マンダが交換することを期待してみがわりを張りたいが、万が一開き直って大文字を打たれたらマンムーは倒されてしまう。かと言って礫を打ったらゴウカザルに半減で受けられてしまった、などではせっかくの攻撃のチャンスが止まってしまう。

 このような状況は基本的にマンムー側が有利だが、ともすればチャンスを逸するいわば「有利な読み合い」の状況といえる。整理してみると

氷の礫を選択した場合
 マンダ交換  チャンスを失う=±0
 マンダ居座り マンダ死亡=+1
みがわりを選択した場合
 マンダ交換  チャンス到来=+1
 マンダ居座り マンムー死亡=-1

 となる。相手の行動次第で結果は異なれど、少なくとも礫を選択しておけばアドバンテージを失うことはない。

 【例4】は交換読みの問題である。エレキブルは素早さでギャラドスに勝っており、みがわりがあれば【例1】と同じ状況なのでみがわりが最善の選択肢である。しかしエレキブルがフルアタ型でみがわりを持っていないとすると、ここでも流し際の選択が生まれてくる。整理すると

10万ボルトを選択した場合
 ギャラ交換→地面 チャンスを失う=±0
 ギャラ交換→草  半減ダメージ=+0.5
 ギャラ居座り    ギャラ死亡=+1
交換読み氷技を選択した場合
 ギャラ交換→地面 抜群ダメージ=+1
 ギャラ交換→草  抜群ダメージ=+1
 ギャラ居座り    竜舞or滝登り=-1

 となる。やはり相手の行動次第で結果は異なるが、基本的に10万ボルトを選択しておけばアドバンテージを失うことはない。

 ここまでの例から、潰しの流し際は有利な順に以下のように分類できることがわかる。

1、圧倒的有利【例1、2】
素早さで勝っている上に敵が確1圏にあり、身代わり、とんぼ返りが大安定な状態。

2、有利な読み合い①【例4】
素早さで勝っている上に敵が確1圏にあるが、身代わりやとんぼ返りを持たない場合。

3、有利な読み合い②【例3】
先制技で敵が確1圏にあるが、こちらも敵の攻撃で確1にある状況。

 1の圧倒的有利な状況というのはあまり見ないが、他にもサンダースがスターミーと対峙したときなども同様である。これは考察の余地はない。

 問題は2と3の「有利な読み合い」の状況にあるときにどのような選択をするべきか、という点である。当たり前だが、目前の敵を倒せる技を繰り出すことはマイナスになることがありえない安定な選択肢とも言え、こちらが「有利」たるゆえんである。しかし、実際の対戦でいつも馬鹿正直に技を選択していては、毎回半減で受けられてしまってなかなかチャンスをつかめない。ポケモン対戦では時として危険を省みず交換読みの身代わりや技を繰り出さなくてはいけない時がある。

 これは勝負勘や経験が左右する要素なので一概には言えないが、1回の対戦中に同じ局面が2度現れた時は1回目の局面でどのように動いたかを参考に選択をすることをお勧めする。

 ところで、ポケモン対戦をする以上ある程度の読み合いは避けられないものだが、読み負けるリスクを軽減してくれる身代わりは、潰しパにはできるだけ搭載したい技の一つである。もちろん、とんぼ返りも似たような働きを持つ技だが、ゴウカザルのような高火力の潰しはとんぼ返りをするよりも居座って身代わりを残したほうが敵に与えるダメージの期待値は大きいことが多い。

2009年5月18日月曜日

12、受けポケモンの流し際

 潰しパにおいても受けポケは採用されるべきだという事は以前の記事で説明したとおりだが、それらの受けポケの流し際の行動は実は潰しパにとって非常に重要な問題である。

 というのも、前章で説明したように受けポケというものは努力値をHPと防御or特防に振っているため決定力がなく、敵の潰しの起点にされやすいためである。せっかく敵の潰しを受けたのに、その受けを起点にさらなる潰しを呼んでしまっていたら、いつまで経ってもこちらが殴りにいけない。

 受けパにおいては流し際の行動はステルスロックやまきびし、はねやすめ、どくどくなどいくらでも思いつくが、潰しパの流し際を受けパの流し際と同様に考えてはいけない。潰しパにおいてはまきびしなどの定数ダメージではダメージ蓄積が遅く、再生回復を持つ受けパに定数ダメージで競り負けてしまう。あくまでも潰しパの主役は潰しポケモンであり、流し際に考えるべきはいかにして潰しを無償光臨させるかという点である。以下に潰しパの流し際としてふさわしい技を列挙する。

【とんぼがえり】
もはや説明不要の優良技。格闘をグライオンで受けて交換読みとんぼがえりができれば、相性の良い潰しを無償光臨させていける。

【バトンタッチ】
意外かもしれないが、バトンタッチの効果は「能力変化を交換先に引継ぐ」ことだけではない。「敵の交換先を確認してからポケモン交換を行う」という、いわばとんぼ返りの下位互換的な使い方も可能なのである。もちろん、常に下位互換的な使い方をするのではなく、場合によっては能力変化を引き継ぐ使い方もすることでとんぼ返りの劣化とはならない。また、ソーナンスで捕まえられるとまずい受けポケにとっては保険の意味もある。

【やどりぎのたね】
草ポケにしか使えない技であるが、これを喰らってしまったポケモンは長く居座ることができなくなるので、こちらの潰しを普通に交換出しするのに役立つ。また、潰しで突破できないような積み受けが敵にいるときにも役立つ。

【ねがいごと】
この技は1ターン後に場にいるポケモンの体力を回復するが、これはこちらの潰しを無理やり交換出ししていくのに役立つ。カイリキーやハッサムなど、弱点を突かれなければ一撃では落ちないような潰しを交換出ししていくときにこの技は有力となる。

【リフレクター、ひかりのかべ】
潰しを交換出しする際に頼りになる技。通常の潰しパであれば5ターンもあれば十分潰しを交換出ししていけるので、8ターンにする必要はない。

【きのこのほうし】
キノガッサ限定だが、非常に強力な技。他にもさいみんじゅつ、ねむりごな等で敵を眠らせることができれば潰しを無償光臨させることができる。

【あくび】
上記の眠り技とは意味合いが少し違うが、流し際にあくびを当てる事によって次ターンは敵の交換読みで潰しを交換出しできる。もちろん、敵が眠り覚悟で攻撃してきた場合に対するケアも必要だが、多くの場合交換を誘えるので優秀である。また、必中なので砂がくれや影分身などに強いのもアドバンテージ。

【でんじは、おにび】
これらの状態異常を撒くことは潰しを交換出しする際の保険となる。ただし、ミロカロスに当ててしまうと致命的な失敗になる可能性があるので、敵のメンバーをよく考えた上で打つ必要がある。

【あまごい、にほんばれ】
エースが天候変化によって恩恵を受けるようであれば搭載しうる。ただし、受けポケが出場してこないと天候変化が起こらず、その天候変化がないと潰しが力を発揮できないようなシステムでは本末転倒であるので、使用には慎重を要する。

 逆に、以下の技は潰しパの流し際にふさわしくないと言える。

【一撃必殺】
グライオンの流し際にハサミギロチンというのは非常に有名なパターンだが、これは潰しパに限ってはふさわしくない。一撃必殺技と言うのはそもそも流し回数を増やし、試行回数を増やすことで初めて威力を発揮する。つまり、受けパの流し際としては適切な選択肢かもしれないが、流し回数が必然的に少なくなる潰しパにおいてはかなりリスクの高い技である。何しろ受けがそもそも少ないのであるから、外してしまって敵の潰しを無償光臨させてしまったらこちらの崩壊を早めかねない。これは一撃必殺を潰しパに入れてはいけない、という意味ではないのに注意してほしい。最後の最後に潰しで突破できないようなポケモンに出会ったときにハサミギロチンを連打するというのは非常に有効である。重要なのは序盤~中盤に見られる流しターンに漠然と一撃必殺を打っていくことはリスクの高い戦い方だということである。

【どくどく】
素早さ低下と行動不能を伴うでんじはや攻撃ダウンのある鬼火に比べてどくどくは即効性が低く、潰しパの流し際には向いていない。ただし、これも誤解してはいけないのは潰しパにどくどくを入れてはいけない、ということではなく流し際に打つべきではないということである。潰しパにもどくどくを仕込んでおくメリットは十分にあり、積み受けポケモンをどうしても流さなくてはいけない時などはどくどくが威力を発揮する。

 6on6のパーティーを構築する際には以上のことを踏まえて受けポケモンの選択を行う必要がある。漠然と受けられるだけではポケモンの役割として十分でなく、流し際まで含めてパーティーを構築するようにしたい。流し際に適当な攻撃技をぶっ放しているだけでは所詮受けポケの攻撃なので十分な決定力が得られず、敵に好き勝手されてしまうので注意が必要だ。

2009年5月13日水曜日

11、潰しポケモンの選択②

 とんぼ返りが使えることは潰しポケモンの一つの採用基準になりえる。これはこの技が「8、潰しポケモンの選択①」で述べたようなダメージ蓄積と「10、無償降臨」で述べたような無償降臨の両方を同時にこなしてしまう優良技であるためである。ここではさらに掘り下げてとんぼ返りが使用可能なポケモンを考察してみる。まず、とんぼ返りを使用可能なポケモンを素早さ順に並べると

テッカニン160
クロバット130
エテボース115
ゴウカザル108
ブニャット102
フライゴン100
ムクホーク100
グライオン95
オコリザル95
メガヤンマ95
ハッサム65

 となる。他にもとんぼ返りを覚えるポケモンはいるが、実用性の面から載せていないものもある。

 とんぼ返りの良い点は、相手に交換強制力を働かせて交換を読んで打つ事でダメージ蓄積をしながら有利な潰しを当てていけることである。すると、交換強制力の働かない貧弱なポケモンではとんぼ返りはうまく使いこなせないという事を念頭に置く必要がある。

【テッカニン】
こいつをみると剣舞や身代わりバトンを想像することが多いので、とりあえず先制技持ちやほえる持ちに交換されることが多い。よって交換読みのとんぼ返りは十分に可能である。ステロ4倍なのが大きな問題。

【クロバット】
サポート能力は高いが決定力はないため、敵が逃げてくれることはほとんど考えられない。眠らせた後にとんぼ返りや、雨を降らせた後にとんぼ返りなどの使い方は考えられるが、ここでいうような交換読みとんぼ返りは成功しにくい。ステロは2倍。

【エテボース】
こいつは最高威力のテクニシャン猫だましを使うので、出来れば鋼タイプの物理受けに交換したいという心理が働きやすい。よってとんぼ返りが決まる可能性は十分。

【ゴウカザル】
おそらくとんぼ使いの中では最高の交換強制力を持つ。別に交換読みとんぼなどしなくても交換読み身代わりを張れれば二回殴れるので、厳しいことこの上ない。

【フライゴン】
地面、ドラゴンの強力な技は弱点のポケモンには交換強制力を働かせる。二刀流かつタイプ優秀で素早さも良い値。ステロ半減。

【ブニャット】
クロバット同様、催眠後のとんぼ返りは考えられるが、交換強制力はほとんどないので交換読みは難しい。

【ムクホーク】
インファイト、ブレイブバードとかなり強力な技を持つので交換強制力は十分。ただし、どう考えても物理アタッカーなので相性が悪くなければ物理受けは居座ってくる。ステロ2倍なのも問題。

【グライオン】
非常に珍しいが、こいつはその他受けで紹介したとおりカイリキーやヘラクロスといった格闘受けをこなせる。そして流しのターンにとんぼ返りを打つことが出来る唯一の受けポケモンである。受けと潰しに割けるポケモン数が限られている潰しパにおいて、受けポケにとんぼ返りを持たせられるのは大きなメリットとなる。

【オコリザル】
インファイトに加えてオーバーヒート、種爆弾、逆鱗などを覚える隠れたとんぼ使い。スカーフ持たせて先発させるのが良さそう。ステロ半減。

【メガヤンマ】
普通は特殊攻撃メインのポケモンなので、特殊受けを出したくなるのでとんぼ返りがうまく当たる可能性は高い。ただし、攻撃種族値が低いこととステロ4倍の弱点があるため、いまいちと言わざるを得ない。

【ハッサム】
エスパーや氷、草など、得意な相手にはとことん強いため交換強制力は十分。電気や水など相性等倍の相手にも後攻とんぼ返りからの無償降臨が期待できるためとんぼ使いではおそらく一番使い勝手が良い。ただし、現環境に最も多いポケモンでもあるため、メタを張られている可能性が高く、敵のパーティーによっては活躍機会が与えられない。

 以上何匹かのポケモンを見てきたが、とんぼ返りによるダメージ蓄積を狙う場合、とんぼポケモンの登場回数は必然的に多くなり、ステロダメージが2倍以上では役割を果たせなくなる可能性が高い。すると、とんぼ返りポケモンの選択肢はさらに狭められる。それは

エテボース、ゴウカザル、フライゴン、ハッサム、オコリザル、ムクホーク(ステロ2倍)

の6匹であり、受けポケモンとしてのグライオンを加えた7匹が潰しパの候補ポケモンということになる。

2009年5月8日金曜日

10、無償降臨

 前回の記事では起点のある潰しは場に出しやすいため優先的に採用されるという話をした。

 では、耐久力がなく起点を持たないような潰しはどのように使えば良いのかというと、それはいわゆる無償降臨に頼るほかなくなってくる。

 無償降臨とはその名のとおり、こちらの潰しをダメージや状態異常技などを受けることなくタダで出していくことを指す。このような状況を作り出せる方法を以下に列挙する。

【とんぼがえり】
敵の交換を読んでとんぼがえり、もしくは後攻で一撃喰らってからのとんぼがえりによってエースを無償降臨させることができる。

【みがわり+バトンタッチ】
サンダースで有名なこのコンボだが、サンダース自身が場に出しにくいポケモンなので必ずしも良い方法とはいえない。シャワーズなどにバトンタッチだけを仕込んでおいて、後攻バトンタッチをすることで無償降臨を目指すという使い方もある。

【さいみんじゅつ、ねむりごな、キノコのほうし】
敵を眠らせた次のターンは、敵が寝言を持っていない限り安全にエースを交換出ししていくことができる。

【でんじは、あやしいひかり、いばる】
マヒ状態の敵は25%の確率で行動制限がかかるので、25%の確率で無償降臨ができる。ただし、これはかなり危険な方法といわざるを得ない。一方混乱状態の敵は50%の確率で行動制限がかかるので、賭けてみる価値は十分にある。筆者は以前ランターンででんじは+あやしいひかりを両方かける使い方をしていたことがあるが、麻痺と混乱が両方入っている相手に対してはかなり安全に交換出ししていくことが可能である。

【アンコール】
身代わりやりゅうのまい等にアンコが入れば後続のポケモンを安全に場に出していくことができる。フーディン、ワタッコ、ゴウカザル、ソーナンスなどが主な使い手。

【死に出し】
あまり推奨される方法ではないが、使い道のなくなったポケモンを一体切って死に出しでエースを出していくのはよく見かける。ただし、死に出しを前提にしたパーティー構築をするのではなく、他の無償降臨の方法を確保しつつも対戦時は臨機応変に死に出しも使っていくというのがあるべき姿である。

【先発】
無償降臨とは意味が違うが、交換出しが難しい潰しを先発に持ってくるという方法もありえる。ただし、先発にスカーフが多い環境では逆に一撃で潰されてしまう危険性もあるため、やはり他の無償降臨の方法を確保しておきたいところである。

 ざっと以上のようになる。こうやって見てみると無償降臨の方法というのはあまり多くなく、パーティー構築の際にエースをどのように無償降臨させるのかをしっかりと考えておかないと、せっかくのエースが活躍する場が得られないという事態に陥るのがわかる。

 昨今のハッサムの人気は後攻とんぼ返りからの無償降臨が容易なためと見ることもできる。また、ソーナンスの強さはひとたび場に出せば確実に一匹持って行くか、補助技アンコからの無償降臨が保証されている点だと言える。

 起点の持てる潰しは敵のパーティーに起点がいればいくらでも出していくことができるが、起点のない潰しを使っている人にとって、ハッサムやソーナンスをパに組み込むことは、それだけでエースの無償降臨の機会を増やすことにつながり、簡単にパの流れを良くすることができる。ヘラクロスやゴウカザルを使っているがなかなか活躍の場が得られない、という人は一度ハッサムやソーナンスをパに入れてみると面白いだろう。

2009年5月7日木曜日

9、起点

 潰しポケモンの選択肢として前章では「二刀流」「とんぼ返り」「身代わり」などの具体策を挙げてきた。今回は潰しポケモンの選択肢として「起点」の観点から考えて見る。

 起点とはある敵のポケモンに対してこちらの有利な潰しポケモンを交換出ししていくことで、交換時のダメージをほとんど受けることなく、安全に潰しポケモンを出していけるような相手を言う。具体的には「シャワーズはユキノオーやルンパッパの起点になる」とか、「グライオンを起点にしてゲンガーを出していく」などのように使う。

 潰しポケモンの宿命として避けられないのが「交換出しが難しい」という事である(ギャラドスやボーマンダのように耐久力のある潰しも存在するが)。例えば二刀流アタッカーの代名詞ゴウカザルは、普通の状況では交換出しは難しい。たとえ相手が相性的に有利なエアームドでも、万が一交換際にドリルくちばしがとんできたらたまらないので、普通は交換出しはためらわれるところである。よって、大抵の場合ゴウカザルは「敵の炎技を読んで」出て行ったり、「敵の交換を読んで」出していくことになる。

 しかし、潰しポケモンをゴウカザルのように交換出ししにくいポケモンばかりで固めてしまうと、対戦の中で潰しを出す機会が減ってしまい、結果的に長期戦になり潰しパの勝ちにくい状況ができあがってしまう。つまり、潰しポケモンの選択を考える時に「起点」を持っているポケモンは優先的に採用する動機となることがわかる。

 起点はポケモン固有のもので一般的に論じることは難しいが、大抵はタイプ相性によって規定されていると考えられる。起点にしたいポケモンをメタって、そこを起点にできるような潰しポケモンを選択するのが良い。一応以下に起点の例を挙げておく。

・ユキノオー、ルンパッパの起点
 シャワーズ、ミロカロス、ヌオーなど
・ヘラクロス、カイリキーの起点
 ブラッキー、悪ポケ
・ゲンガーの起点
 グライオン
・ボーマンダの起点
 ダグトリオ、ゴウカザル(めざ氷なし)
・ギャラドスの起点
 ゴウカザル(雷パンチなし)
・ラグラージの起点
 電気全般
・キノガッサの起点
 ギャラドス、水ポケ

 マタドガスなどは流し際の選択肢が鬼火くらいしかないので、ゴウカザルやウィンディを呼びやすい。

 他にも多くの起点があるので、潰しを選択する際には考えてみると良い。

2009年5月6日水曜日

8、潰しポケモンの選択①

 潰しパの構築法なのに長々と受けについての記事を書いてきたが、ここからはついに潰しポケモンの選択について書いていく。さて、受けを潰しで突破することを考える時重要なのが

1、いかに抜群の技を当てに行くか
2、いかに特化していない方の攻撃を当てるか
3、特化している方の攻撃でも、ダメージ蓄積があれば突破できるので、いかにダメージ蓄積をさせるか

 ということである。逆に受ける側から潰しに対抗する事を考える時重要なのが

4、いかに麻痺・毒・やけどなどの状態異常を撒くか
5、いかに体力回復を行うか
6、いかに流しのターンを有効に使えるか

 ということである。ここは本研究の肝なのでどのような時にこういった状況が生まれるか一つ一つ見ていくことにする。

【1、いかに抜群の技を当てるか】
・潰しポケモンが受けポケモンに対してそもそも有利なタイプである時
・役割破壊技を持っている時
・交換読みで抜群の技を当てに行く時
・身代わりなどが出ていて受けポケモンが攻撃せざるを得ない時

【2、いかに特化していない方の攻撃を当てるか】
・こちらの潰しが二刀流の時
・役割破壊技を持っている時

【3、いかにダメージ蓄積をさせるか】
・ねこだましによる無償ダメージ
・ステルスロックや砂嵐などの定数ダメージ
・交換読みとんぼ返りによるダメージ
・交換時の打ち逃げダメージ
・毒ややけどの状態異常ダメージ

 これくらいだろうか。この3点は受けを突破する上で非常に重要になってくるが、実際のポケモン対戦をやって見ると、1番の抜群技を当てる場面というのはめったに出てこない。相手も抜群技を喰らう可能性があるならば受けを変えてくるだろうし、紙耐久の潰しポケが無条件で身代わりを張れるタイミングなどそうそうない。

 すると、まず潰しの候補として有力なのが二刀流によって相手の特化していない方に攻撃を加える事であるのがわかる。ダメージ計算ツールで計算するとわかるが、物理耐久が高いグライオンやマタドガスも、大文字や波乗りなどの特殊攻撃を受けるとあっという間に沈んでしまう。

 そして、蓄積ダメージについてはしっかり考察しないと見逃してしまいがちだが、「ステルスロック等を使わない純粋な潰しパでは、ダメージ蓄積は実はほとんど望めない」ことがわかると思う。受けを崩す上で重要な蓄積ダメージだが、その実、潰しパで有効打につながる蓄積ダメージを与えるのは非常に難しいことがわかる。序論でジバコイルが10万ボルトを打ったらハピナスが出てきた例を挙げたが、この程度では蓄積ダメージを与えたとは言わない。ジバコでハピナスに10万ボルトを当ててもダメージは20%前後であるから、もう一発喰らってからでも回復が間に合う。

 潰しパにおいてダメージ蓄積を効率的に行うには「身代わり、とんぼ返り」が必須であると考えられる。

 例えば敵のヤドランにこちらのハッサムを当てていったとしよう。放っておけば大ダメージは確実なのでヤドランは交換するしかないが、ハッサム側の選択はとんぼ返りで大安定なのである。これによって交換先の物理受けポケモン(おそらくギャラドスやマタドガスなど)に相当なダメージを与えつつ、その受けポケモンに対して有力なポケモンを後だしすることができる。すると、次のターンも敵は受けを交換する必要が出てくるので、こちらはさらにかさにかかって身代わり、とんぼ返りといった選択をすることができるようになる。もちろん、敵の開き直りを読んで抜群技を当てに行ってもよい。

 もう一例挙げると、ゴウカザルの前にエアームドがいた場合、敵は十中八九交換をしてくるが、ここで無造作に大文字をぶっ放しているようだとドククラゲやギャラドスに受けられて困ってしまう。ゴウカザルの火力では大文字の半減ダメージ+他の技の組み合わせでこいつらを突破することはできない。しかし、交換際を身代わりにしてやれば出てきた敵に対して最も効果的な技を選択することができるので、大きなダメージ蓄積が見込める。この場合だと身代わり→雷パンチとつなげられれば満点の戦い方である。


 次に受け側の視点からの考察を行う。どのような場面で以下の状況が生まれるかを考えて見る

【4、いかに麻痺・毒・やけどなどの状態異常を撒くか】
・潰しを受けて流すターンに電磁波、どくどく、鬼火
・物理受けを行う時にごまかしで鬼火
・流しターンにどくびし

【5、いかに体力回復を行うか】
・食べ残し、黒いヘドロによる毎ターン回復
・受けが成立している時や流し際の再生回復技
・回復手段を持たない受けのオボンのみ、ねむカゴによる回復

【6、いかに流しのターンを有効に使えるか】
・ステルスロックやまきびしを撒く
・上記の状態異常を撒く
・上記の体力回復を行う

 といったところか。こうやって見てみると受けパの非常に特徴的な部分が垣間見える。それは、「全ての行動は流しターンでないと行えない」ということである。どんな受けパでも、目前に天敵のポケがいたらおちおちステルスロックなんて撒いていられない。ゴウカザルが目の前にいるのに交換以外の選択肢を選べるエアームドはいないだろう。

 すると、潰しパが受けパに勝利するためには、何が何でも「流されない」事が最重要になってくる。そして、流されないためには常に有利なポケモンを対峙させ続け、敵の交換を読んでとんぼ返りや身代わりを打つ。これに尽きるのである。ある程度とんぼ返りによってダメージが蓄積してくれば、別にとんぼ返りでなくてもタイプ一致の最強技で無理やり突破できる状況が生まれてくる。この時こそ、潰しパの勝利の瞬間である。

2009年5月4日月曜日

7、メタゲームと受けの放棄

 ポケモンに限らず、あらかじめデッキを組んでおいて戦うようなゲームにはメタゲームがつきものである。メタゲームとは、現在の対戦環境において支配的なパーティーを仮想敵とし、それに有利になるように自分のパーティーを構築することで勝率を上げるというものである。

 ここまで「2、潰しパにおける受けの必要性」の表にあるようなポケモンを仮想敵として考察を行ってきたが、この中には実戦であまり見かけないポケモンも存在する。頻度的にはポリゴンZ、トゲキッス、メガヤンマはそこまで多く見かけない。特にメガヤンマはステルスロックのダメージが4倍なので、6on6では好まれない傾向にある。 対して、すでに対策を行ってきたエンペルトやキングドラ、ギャラドス、ゴウカザル、ボーマンダなどはこれでもかというくらい頻繁に見かける。サンダースやエレキブルは実はギャラドスやゴウカザルほどは数が多くない。

 潰しパにおいても受けが必要だとはいえ、2、3匹のポケモンで受けられる相手というのには限りがあり、どこかで受けを放棄せざるを得ない。それが今回のテーマであるメタゲームと受けの放棄である。

 仮想敵としていたポケモンを敵が使って来なかった場合、その対戦における受けポケモンの価値は一気に下がる。なにしろ素早さが低くて決定力もないものだから、受けの対象外の潰しに当てて行ったらひとたまりもない。水受けのランターンを入れていたら敵に水ポケがいなく、マンムーやガブリアスしかいなかったとしたら、ランターンははっきり言ってスペースの無駄遣いになってしまう。

 受けを選択する時に重要なのは、どのポケモンにメタを張るか、どのポケモンの受けを放棄するか、という点を明確にすることである。このブログではまずメタの最重要ポケモンとしてエンペルト、キングドラ、ギャラドスの3体を挙げている。これらは現在の環境で全抜き性能が非常に高いためである。メタの次点としてはゴウカザルとボーマンダを挙げる。これらは二刀流で非常に受けずらく、全抜きと言わずとも2、3匹はあっという間に持っていかれてしまう危険性を持っているためである。ただし、ゴウカザルはまだしもボーマンダを安定して受けるのはほぼ不可能なので、ある程度の諦めは必要である。その後のメタはサンダース、エレキブルの電気受けやヘラクロス、カイリキーの格闘受けに移っていく。

 勘違いしてはいけないのだが、このブログで構築しようとしているパーティーは以上のようなメタにのっとって、それらを含むパーティーに対して勝率が良いパーティーを想定している。大会や対戦掲示板にはそれぞれ流行のパーティーがあり、当然メタも変わってくるということに注意しなくてはならない。

 受けを放棄するとは例えば、「電気受けはエレキブルの存在を無視してサンダースさえ受けられれば良いとする」ような時「エレキブルの受けを放棄する」と表現することができる。こうすると、ランターンが水受けだけでなく電気受けとしても使えるので受けポケモンの選択肢が広がる。他にも、ヘラクロス受けを放棄するならば格闘はヤドランだけで大丈夫になる。ただし、受けを放棄したポケモンを敵が使っていた場合受けが成立しなくなるので、その穴をパーティー全体で補うように努力しなくてはならない。受けの放棄はパーティー全体の構築にも少なからず影響を及ぼしてくるのである。

2009年5月2日土曜日

6、特定受けと広範囲受け

 ポケモン対戦を初めてしたとき、受けポケモンのあまりの堅さに驚いた方は多いのではないか。私も始めて組んだパではガブリアスやらトゲキッスといった厨アタッカーを使用していたが、ことごとく受けきられて驚愕したものだ。

 「受け」の定義について今まで述べてこなかったが、簡単に言えば「受け」とは相手のポケモンに対して後出し(交換出し)していっても敵の攻撃を耐えることができ、相手を流したり倒すことができるポケモンのことをさす。人によっては「受け」と「流し」を区別して、受けは再生回復を持つことで対象を何度でも受けられるのに対し、流しは回復技を持たず、流し回数が2、3回に限られると定義することもある。

 ポケモンの受けには基本的に物理受けと特殊受けの2種類があるが、その中でもそれぞれ特定受けと広範囲受けに細分されることを考えると4種類存在するとも言える。厳密に仮想敵を持ちそれを受けることに特化したものを特定受けと呼び、仮想敵を持たずに物理全般、特殊全般を受けるポケモンを広範囲受けと呼ぶ。

 例えばヌオーなどは種族値が低くとても広範囲物理受けとしては使えないが、以前の考察で見てきたとおりギャラドスやエレキブルはがっちり止める、まさに特定受けである。

 物理の広範囲受けはカバルドン、特殊の広範囲受けはハピナスが有名だろう。彼らは特化したときの防御性能が非常に高く、等倍の技でも場合によっては無理やり止めることができるのが特徴である。

 お気づきのようにここまでの考察では特定受けについてのみしか考えてきておらず、広範囲受けを採用する気は一切なかったが、これには理由がある。

 ポケモンは持てる役割が明確でないと使いにくい。受けの選択においても仮想敵を決めて受けを選択することが重要となる。仮想敵のいない、つまり役割の不明確なポケモンは出すタイミングがないので、無理やり出そうとすると交換際の攻撃で大ダメージを受けてしまったりする。これはダイパプラチナ時代になって潰しの決定力が底上げされたために起きた現象で、受けの細分化とも呼ぶことができるかもしれない。

 例えば前述のカバルドンなどは種族値を見るとHP108防御118でとてつもなく堅い印象を受ける。しかし半減できる属性が毒、岩、電気しかないため、実際のところ受けられる物理アタッカーはほとんど存在しない。

【例】
・ハチマキカイリキーの爆裂パンチで41%-48%の被ダメージは一回混乱が発動したら落ちてしまうし、仮になまける連打で粘ってもカイリキーに決定打を与えられないので流すことはできない。
・根性ヘラのインファイトは43%-51%で乱数域に入っており、その他のダメージ蓄積があれば2発で突破
・ギャラドスはタイプ的に受けができない
・ボーマンダは逆鱗も厳しいが二刀流の流星群もあるのでとてもじゃないが受けられない

 このように今まで考察してきたようなポケモンに対して全く役割を持てない。どんなに能力値が高くても、その能力を以って受ける対象がいなければ宝の持ち腐れであり、パーティーに組み込む動機とはならない。

 ただし、ハピナスだけは今作唯一の広範囲受けと言って良い受け性能を持っており、スターミーやポリゴンZ、メガヤンマなどかなりの特殊アタッカーを等倍でも無理やり受けることができる。ただし、水受けの考察で見てきた高速移動みがヤタエンペルトやすいすいキングドラなどは決定力が高すぎて受けが難しい事に注意を要する。

 パに受けポケモンを組み込むときはそのポケモンが受ける対象を明確にして努力値や技の構成を考えなければならず、漠然と特殊は全部ハピ任せ、というようなパでは勝率は上がらないということである。

2009年5月1日金曜日

5、その他の受け

 ここまでの記事で水受けと電気受けについて考察したが、「2、潰しパにおける受けの必要性」で挙げたような代表的な潰しポケモンの中には、いまだに受けられていないポケモンが数匹いることに気がつく。現在すでに受けポケ枠が2匹確定してしまっているので、もはや受けに割けるポケモンはあと1匹と考えた方が良い。自由度のある潰しポケモンの選択を行うためには、できるだけ多くの枠をフリーにしておきたい。

 その他のポケモンで要注意なのはボーマンダ、ゴウカザルの二刀流系と、カイリキー、ヘラクロスの格闘系である。この章ではこれら4匹に対する安定受けを探ることにする。

【ボーマンダ】
りゅうせいぐん、げきりんといった半減の難しい二刀を持ち、サブウェポンにはだいもんじ、ハイドロポンプ、瓦割り、じしん、つばめがえしなどを持つ。ゴウカザル同様全ての型を受けきるのは不可能なので、できるだけ安定した受けを探ると

マンタイン、エンペルト、ヤドキング、ヤドラン、ギャラドス

くらいしか思いつかない。ヤド2匹はりゅうせいぐんと逆鱗のどちらかを振っていない方に喰らうと致命傷になるので、交換出しは一種博打である。

【ゴウカザル】
インファイト、だいもんじ、くさむすび、かみなりパンチ、じしん、とんぼがえり、みがわり、めざパ氷など、技の多彩さではボーマンダのさらに上を行く。こちらも全ての型を受けきるのは不可能なので、できるだけ安定した受けを探ると

ドククラゲ、ヤドキング、ヤドラン、ギャラドス、ボーマンダ

などであろう。ただし、ゴウカザルは若干決定力に欠けるので、サブウェポンで抜群をとられても、体力が満タンの状態からならゴリ押しできる事も少なくない。それらを加味すると

スターミー、ミロカロス、シャワーズ 、水地面(リンド持ち)

なども受けの候補に挙がる

【カイリキー】
基本はノーガード爆裂パンチを繰り出してくる。先制の爪を持っていることもある。まれにインファイト根性型も見るが、小数派であろう。

ヤドラン、ヤドキング、グライオン、ギャラドス、ボーマンダ、ヨノワール、ミカルゲ

ただし、素早さが低いことを考えるとある程度体力を削ることさえできればあとは誰でも始末できる。よって対策の必要性は二刀流の2匹よりは低い。

【ヘラクロス】
根性火炎球剣舞メガホーンが脅威。また、まれにみがカムむしのしらせ型もいるらしい。

グライオン、ギャラドス、ボーマンダ、ヨノワール、ミカルゲ

ここまで何度も名前の挙がってきたヤド達は、こいつが最大の弱点である。また、素早さも85族とそこそこなので、後半に素早さの高いポケモンが残っていないと全抜きもありえ、カイリキーよりは優先度が高め。

 さらに補足として、ゴウカザルとヘラクロスは死に出しに限ってはダグトリオで確実に倒すことができる。貴重な潰しポケモンの1匹をダグトリオに割くかどうかは重要な問題だが、一応考えておく。

 不思議なことに、これら全てを受けうるのはギャラドスとボーマンダのみという結果になってしまった。もちろん、彼らだって万能ではなく、格闘ポケモンのストーンエッジは相当なダメージを受けてしまうし、ステルスロックが2倍というのも受けとしては不満な点である。まだ枠の決まっていない潰しポケモンにうっすらと受けをカバーしてもらうようなパーティーの組み方も考えられるだろう。また、ボーマンダについては一応受けの候補は挙げては見たものの、そのどれもがマンダの型によっては突破されてしまう可能性が拭いきれず、はっきり言ってボーマンダを安定して受けることは不可能であることに注意して欲しい。